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倭訓栞
前編二/阿
あざな 字およめり、交名の義なり、人に交るより呼べる名なればなり、字お阿三那(あざな)と訳せしは、中山伝信録に見え、梵語に悪刹那といふ事、倶舎論に見ゆ、是は文字の字なり、学生入学の時、文章院の堂 〓が書くだす名籍にあざなお書り、よて儒者たるもの、必ずあざなつくといふ事、源氏の抄に見えたり、後世の俗、虚名おもしかいへり、宇治拾遺にも見えたり、よてあだなの義なりともいへり、