[p.0730]
類聚名物考
姓氏八
名字 な あざな
字の事、必しも人ごとに有にはあらず、たま〳〵字ある人あり、漢の書に見えし小字といふものに似たり、楊雄が子の小字お童鳥といひしが如きなり、これおすべて名とのみいひて、阿奘那(あざな)とはいはず、後世に到りては、儒者は必字つくる事となれり、源氏物語にも見えたり、されども漢の法と異なるも有、文屋康秀の字は琳なるお、文淋といひしが如く、或は袴垂といふ盗人の有しなどは、あだなといふが如きに似たり、