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四季草
秋草上/姓名
一貴人の御名乗の事お、御諱といふは誤也、人の存生の時の名おば名と雲ひ、死したる時は、其人の存生の時の名おば憚りいみていはず、諡おいふ也、これ子たる者は、父の名おいみ、臣たる者は、君の名おいむお礼とする也、故にいみ名と雲ふ也、此事唐の書にも見えたり、ちかくは字彙にも、生曰名、死曰諱と見えたり、是お知らぬ人は、貴人のいまだ存生にて在るに、御諱といふ人あり、是死人と同じくする也、いま〳〵しき事にて甚無礼也、