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有徳院殿御実紀附録

先代よりして、御名の事お御諱と称し、さりぬべき人々に御名の字賜る時も、御諱下さるヽと申けるに、諱とは君父の死後にいたり、臣子より称する事にて、みづからの名おいふべきにあらずと仰ありて、享保九年十二月朔日、大納言殿〈惇信院殿○徳川家重〉に、御名まいらせられしときより、たヾ御名お進らせらるヽと称し、さるべき人々に賜はる折も、御名の一字賜ると称することに、永くさだめられしとなん、