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源平盛衰記

堂衆軍事上人〈○源空〉大谷庵室に縁行道し給けるが、折節候ける摩訶部の敬仏、かくはりの浄阿弥陀仏(○○○○○)お呼出して、〈○中略〉甘糟死たらば骸おも隠し、首おも取て来給へと被仰ければ、かくはりの浄阿(○○)、坂本に走越て、八王子山のすそ、早尾坂の辺お見廻すに、死人の多事算お散せるがごとし、〈○中略〉浄阿弥(○○○)は泣々首おかき落し、童が直垂に裹ませて、檜笠の下に引隠し、童相具して大谷の庵室に来れり、