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神皇正統記
継体
継体天皇は、応神五世の御孫なり、応神第八の御子隼総別の皇子、その子大跡王、其子私斐王その子彦主人王、その子男大跡王と申すは、この天皇にまします、〈○中略〉応神御子おほくきこえたまひしに、仁徳賢王にてつたへましヽかど、御すえたえにき、隼総別の御末にて、かく世おたもたせ給ふこと、いかなるゆえにかおぼつかなし、仁徳おば大鷦鷯尊と申す、仁徳の御代に、これ兄弟たはふれて、鷦鷯は小鳥なり、隼は大鳥なりとあらそひたまふことありき、隼の名にかちて、すえの世おうけつぎたまひけるにや、もろこしにもかヽるためしあり、〈左伝に見ゆ〉名おつくることも、つヽしみおもくすべきことにや、それらおのづから天命なりといはヾ、凡慮のおよぶべきにあらず、
○按ずるに、本書継体天皇お以て隼総別皇子の裔とせるは誤にて、若野毛二俣王の裔なるこ と帝王部践祚篇不為太子而践祚の条に弁ぜり、