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枕草子

頭弁〈○藤原行成〉の御もとよりとて、とのもづかさ、えなどやうなる物お、しろきしきしにつつみて、梅の花のいみじく咲たるにつけて、もてきたる、えにやあらんと、急ぎ取いれて見れば、へいだんといふ物お、二つならべてつヽみたる成けり、そへたるたて文に、けもんのやうにかきて、進上へいだん一つヽみ、例によりて進上如件、少納言殿にとて、月日かきて、みまなのなりゆき(○○○○○○○○)とて、〈○下略〉
○按ずるに、なりゆきは、行成の字お倒置せるなり、