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嬉遊笑覧
三/詩歌
新撰狂歌集に、前大上戸朝又、宇治茶大臣などは、酒の歌、茶の歌なれば、それに附てさる名お書るにて、其読人の常に用ゆる戯名には非ず、又池田正式が、布留田造、平群実柿なども一時作り設し名なり、後世のごとき、名お作りて用ひたる者はなく、皆実名お書り、誹諧師も、宗匠は僧形なれば、字音に呼ぶ名おつけれ共、俗体の者は、名乗お用ること連歌の如くなりしに、後世常の人も宗匠めける名おつくことは、大かた談林よりこのかたのことなり、是お俳名と呼、