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名字弁
外国より帰化し人々も、其才其功などあれば、官位おもたまひしなり、かく官などたまひて後も、姓名はしも字音にいふべく、
〈続紀に、玄蕃頭従五位下袁晋卿、外従五位下李元環、正六位上沈惟岳、正六位上孟恵芝、正六位上張道光などあり、〉
こなたの姓おたまはりて後も、猶名は字音にいふべきと、
〈続紀に、高倉朝臣福信、難波連庚受、狛造千金、浜村宿禰晋卿、清海宿禰惟岳などおほかり、〉
姓はたまはねども、御国ぶりの名おしつきし人は、姓は字音にて、名は訓にいふべきもあるなりけり、
〈続紀に、造法華寺判官従六位下余東人、正六位上辛男床、大初位上支母未吉足、答他伊奈麻呂、金五百依などあるがごとし、〉