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花月草紙

花のちるは、うてなのうちの実のおほきやかになりて、はなびらの居どころなき故にちるなり、この雨に花はちりぬといふは、雨のうるほひにて、かの実の大きくなればなり、秋冬に至りて、葉の落つるは、わかめのくきのうらよりめぐみて、そのわかめの大きくなれば、ふるき葉の居どころなければちるなりけり、