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醍醐随筆
下末
一接木は本の台木(だいもく)より養ふに、台木の善悪によらず、末の接穂(つぎほ)によるはいかにぞや、桃の台木に梅お接ぬれば梅也、あやまりても桃とならぬ、いかなる道理ぞと不破翁いぶかる、されば台木は土地とおなじ、接穂はたね也、土地は泥土にても砂土にても、梅のたねおうヽれば梅生じ、桃のたねおうヽれば桃生る、土地はたねお養ふのみ也、台木も接穂おやしなふのみなり、