[p.0041]
草木育種後編

〓挿之事 花鏡曰、草木之有〓挿、雖売花傭之取巧捷径法、然亦有至理存焉、凡未〓挿時、先取肥地熟斸細土、成畦用水滲定、待二三月間樹木芽蘖将出時、須㆚柬肥旺発条( /すはい)如拇指大者断㆙、長一尺五寸許、毎条下、削成馬耳状、別以杖刺土成孔、約深五六寸、然後将花条、挿入孔中、築令土著〓木、毎穴相去尺余、希密相等、常澆令潤沢、不可使之乾燥、夏搭矮棚( /ひよけ)蔽日、至冬則換煖蔭( /しもよけ)、仲春方去候其長成高樹、始可移栽、毎欲〓挿、必遇天陰方可動手、又曰、若〓薔薇、木香、月季、及諸色藤本花条、必在驚蟄前後、束嫩枝斫下長二尺許、用指甲、刮去枝下皮三四分、挿於背陰之処、四傍築実不動、其根自生、灌園先生雲、草類は葉も茎も実入かたまりたる処お切てさせば活(つく)ものなり、菊などは莟の形少し見えたる頃させば、根お生じ花お開く、八月上旬およしとす、早くさす時は、根は多く生ずれども、花少もなし、又中菊洋菊(おほぎく)は夏の中肥土へ〓せば、鉢も小く茎も短くして、花ある故に形よし、木類は春の末葉お生ぜざる前さすによし、落葉の木は夏に至り葉かたまりたる時さすもよし、常磐木は新芽のかたまりたる頃よし、薔薇は八月よし、〈◯下略〉