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草木育種後編

培(こやし)甕之事 韓詩外伝雲、孔子曰、夫土者堀之得甘泉焉、樹之得五穀焉、喜任〈◯阿部〉按に、土能万物お生じ、人命の系する処、百果草木都て又地より生ぜざるはなし、然れども地に高下肥瘠あり、水に寒冷淡鹹あり、若人力の滋培各其宜しきお得ざれば、百果おして尽く欣々として栄へに向はしむるべけんや、古へにいふ、花師の類、園主必ず肥お貯ふるお事とすべし、下条に肥に用ふべきもの数品お挙ぐ、用るもの其好悪にまかすべし、 本肥(もとこえ)といふは、人糞十升、水十升合せ、糞窖の中に貯へ置くもの也、陳氏雲、塘水お和すれば諸水に勝るといへり、 下肥(くだしごえ)といふは、金(ふん)汁一升、水三升和し貯るものなり、 水肥といふは、人糞一升、水七升和し貯ふるものなり、 魚肥(うおこへ) 即魚腥血水といふも同じ、魚の腸又肉又洗ひしるお、貯へ置ものなり、是亦水お和し貯へ用ふべし、〈◯下略〉