[p.0052]
草木奇品家雅見

朝比奈は東都四谷新邸の人なり、永島先生の門に入て好人の聞あり、奇品お愛すること衆に殊なり、寒夜に不寐して草木の寒お想像(おもひやり)、窖(むろ)お造て舶来の種お養、今の唐窖(たうむろ)是なり、〈但唐窖其頃は床下に造と雲、今の法に異なり、後世改て今の法とすと雲、〉始て草木の性に随て、寒暑陰陽の護持お別ち、及百両金の葉お洗てこむしお除、且当歳に花芽お著ることお考伝、万種培養、斯人最抜群なりと雲、