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地錦抄附録

唐土より渡り来る花木草花、何れの時より渡りたるはしらず、正保年中以後来るもの左りに記録す、牡丹、芍薬、梅、椿等、花木草花の品類一通りづヽ渡り来るお、和朝にて、其実生、年年にかはり、花の品々、好土の庭々より出たるよし、今にそのごとく、年々実生多く、花葉かはりたるもの、各々名および愛賞せり、其品類花壇地錦抄大全に名記して、凡二千八百三十有余品が中絶なく種植せば、万歳も有りぬべし、草木の種生々絶ざるものにして、天地とともにつきず、三皇の時の花、今に茎葉花実かはらずして花開く、人は眺るほどありて後の人又ながむ、前の人古花といふ花、今の人珍花といひ、今は古花といふて捨たる花、後人初て見て珍花といふべし、万治寛文比渡り来る花中絶して、今又渡り来るお見て、今の人珍花といふがごとし、