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剪花翁伝
前編一凡例
浪花あたりの俗言に剪出(きりだし)といへる者頗る六七十個(にん)あり、嘗て近郷近国二日路三日路、又甚きは四五日お歴て、草木の花葉お剪得て、売花市に粥ぎ家業とせり、此徒の中に代々伝へて業とせる老錬のものヽ、手馴覚えし剪花保育の温室冷窖升水(みづあげ)薬水等の専要たる精義お、今更に著して、挿花者流の目近くなし易きためにせり、