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古事記〓

易子之一木乎は古能比登都気爾(このひとつけに)、加閉都流加母(かへつるかも)と訓べし、玉垣宮段に吾殆見欺乎乃雲(あれほど〳〵あざむかれつるかも)々とある語勢に似たり、一木は、私記曰、一児(このひとつけ)、古事記及日本新抄、並雲謂易子(こ)之一木(ひとつけに)乎、古者謂木為介(け)、故今雲神今食(け)者、古謂之神今木(け)矣雲々と雲り、此訓古き〓と聞えたり、猶古に木お気(け)とも雲し例は、書紀景行巻に、御木(みけ)、木此雲開、万葉二十〈二十一丁〉に、真木柱お麻気波之良(まけばしら)、又〈二十八丁〉松木お麻都能気(まつのけ)とよめり、〈気は必けの仮字なり〉又近江の佐々木お和名抄に篠笥(さヽけ)ともあり、さて今子一人とあるべきお、かく詔ふ由は未だ思得ず、