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世事百談
松竹梅 松竹梅お、わが邦には慶賀のものとす、唐土にては歳寒三友といふこと、月令広義に見えたり、葛原詩話に、世俗の恒言にして賦詠に顕ること希なり、高士奇が金鰲退食筆記に、五竜亭旧為太素殿、創于明天順年、在太液池西南、向後有草亭画松竹梅于上、曰歳寒門、また元張伯淳題皇甫松竹梅図詩あり、曰、三友亭々歳晩時、政縁冷澹易相知、何須近舎今皇甫、却向図中覓補之、元詩二集養蒙先生集に出づといへり、猶ふるく見えたるは、元次山丐論に、古人郷無君子則与山水為友、里無君子則以松竹為友、坐無君子則以琴酒為友、東坡詩に、風泉両部楽松竹三益友といへること、該余叢考歳寒三友の条にいへり、唐の李邕が題画の詩に、対雪寒窩酌酒、敲氷暖閣享茶、酔裏呼童展画、咲題松竹梅花とあり、