[p.0092]
草木六部耕種法
十一需花
松は黒松も赤松も、山上真土の高燥の所に宜し、肥養には禽獣魚介の肉お腐して用べし、又油糟も妙なり、凡そ松も盆栽等に造り、或は花壇に栽たるお、種々盤屈(まがりくねり)たる雅状に造るには、実生二年なる松苗の勢壮なるお、根より土お杻(ねぢり)ながら曲て、竹か皮付の木に巻付て、蕨縄お以て縛繃(しばりからげ)、その竹か木お地に刺込て、松に肥養お懇に培ひ育るときは、盤曲たる儘にて肥りつヽ、古木の形容お成就する者なり、何れの木お屈曲せしむるにも、皆其枝お杻る心持にて曲ざれば、折損ふものと知るべし、既に幹お巻付たる上にて、又枝へ竹お添へ、或は銅線か蕨縄等にて枝お巻き、杻ながら曲屈て望の如くに造るべし、