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重修本草綱目啓蒙
二十三香木
松〈◯中略〉 増唐崎の一つ松(○○○○○○)は、江州志賀郡唐崎にあり、日本後紀には唐崎お可楽崎に作る、日本奇跡考には辛崎に作る、唐崎松の記に雲、天智天皇御宇この松お栽しに、天正九年の大風に倒る、故に新庄直頼と雲者ふりよき松お栽へつがしむ、其ころ或人の歌に、自らちとせもふべし唐崎の松にひかるヽみそぎなりせばと詠ぜり、又同国大津石場に呼つぎの松と雲あり、文政元年の比までは至て小木なりしに、天保の末年に至て僅に二十四五年の間に珍しき大木となり益繁茂す、此樹後来必ず唐崎の松お欺くべし、又丹後成合に片葉の松と雲ものあり、又曾根の松は播州印南郡曾根村にあり、高さ一丈三尺、周り一丈八尺あり、戌亥の方より辰巳へさして七丈、丑寅より未申に至て十一丈、枝ごとに枝おなす、その数百五十八本あり、伝て菅公の神木なりと雲、又泉州左海難波屋の松は、高さ僅に三尺許にして、四方に布くこと数丈、枝下の枝三百余柱に至る、 ◯唐崎の松の事は、神祇部神木篇に詳なり、