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古事談
二臣節
実方経廻奥州之間、為見歌枕、毎日出行、或日あこやの松みにとて、欲出之処、国人申雲、あこやの松と申所こそ、国中に候は子と申之時、老翁一人進出申雲、君はいづべき月のいでやらぬかな〈此歌みちのくのあこやの松にこがくれて〉と申古歌お思召て、被仰下候歟、然ば件歌は、出羽陸奥未境之時、所読之歌也、被堺両国之後者、件松出羽国方に罷成候也と申けり、