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大和本草
十一園木
杉 木直なり、故すぎと雲、すきはすく也、種類頗多し、赤白あり、赤杉お為良、鬼杉あり、木子ぢけ木理ゆがみてあしヽ不可植、日本に昔は杉おまきと雲、まきの戸など雲も杉戸なり、凡杉は美材なり、柱とし棺に作り、土に埋み桶とし、水お入て久しく不腐、屋おつくり船につくり、帆柱とし、器お製す、甚民用お利す、枝お正二月に挿みて能生ずれども、実おうへたるが、正直に美材となるにしかず、山に宜しく黄赤土に宜し、沙土に不宜、棺に作には赤き油杉お用ゆ、油杉の香臭あるお、酒家これお酒中に投じて気味お助く、合璧事類に、倭国に出者猶佳といへり、本草時珍出倭国ことお雲へり、昔日本より中国にわたりしにや、