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甲斐国志
百二十三物産及製造
富士裾野丸尾檜 良材なり、西湖(にしのうみ)、本栖(もとす)、精進(しやうじん)諸村の里人嶮僻にして重持すること不能、榑木( /くれき)〈桶具〉間切( /まぎり)〈二三寸角長六尺〉割貫( /ぬき)、割木、梯子( /はしご)、〈貫(ぬき)木は長二間、梯子は長短三四間、皆裂木而造之、〉機梯の具皆檜お以て造る、槍の柄、木刀の類は樫おも用ふ、担棒は藤の樹、臼杵には峯榛( /みねばり)、鍬鋤農具の柄は花がら、木鉢はぶなの樹とて、銘々其用に堪へたる木お良しと雲々、北山筋黒平村も同之、奈良田村は山折敷( /やまおしき)〈膳に用ふ〉飯櫃、曲げ物〈大小品々〉本州に旧き器物あり、今多くは不用之、箕、木履の類お造る、