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重修本草綱目啓蒙
二十一山果
銀杏 いちやう〈木の名〉 ぎんなん〈実の名、即銀杏の唐音なり、〉 ぎなん〈筑前〉 一名 仁杏〈女南甫史〉 白眼 霊眼〈共同上〉 玉果〈潜確類書〉 白杏〈事物異名〉 樹一名公孫樹〈女南甫史〉 鴨脚〈同上〉 平仲木〈正字通〉 火橐木〈通雅〉 〓〈同上〉 枰〈文選〉 仏指甲〈析江通志〉 白果樹〈袁州府志〉大木にして直に聳ること三四丈、梢にて枝多き者は常の産なり、木高からずして四傍に枝繁るものは希なり、春新葉生ず、形横に広くして鴨脚(あひる)の如し、雌雄あること集解に雲り、葉の末岐ある者お雌とす、実お結ぶ、岐なき者お雄とす、実お結ばず、実は無患子の殻お帯る者に似たり、熟すれば内煉て臭気多し、内に〓あり色白し、二稜三稜あり、三稜の者お雄とす、是お三角銀杏と雲、烏臼の附方に出づ、五福全書に曰、三稜者有毒と、又六七稜なるもあり甚希なり、大木に瘤お生じて長く下垂して、石鐘乳の如くなるあり、極めて長きものは丈余に至る、土州方言いちやうのちヽ、又唐山にては銀杏木お顔額に用て甚雅なりと、女南甫史に見へたり、