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重修本草綱目啓蒙
二十二夷果
桄榔子 つぐ(○○) くろつぐ 琉球の産(○○○○)、近年京師にも来る、冬は窖に入寒おふせがざれば育せず、故に大木になり難し、形状椶櫚の如く直聳し、梢に葉あり、葉の茎三四尺にして、薑葉の如き者左右に互生す、是れ一葉なり、厚く堅して深緑色光りあり、冬お経て枯れず、新葉は年年出て、四五年お経て旧葉枯る、葉ごとに本に長毛あり、椶毛より粗して黒色お帯ぶ、故に黒つぐ(○○○)と呼ぶ、つぐは其略なり、この毛刷(はけ)子或は掃箒に用て強し、縄となす者薩州より来る、椶索より強し、 増、一種毛に赤色お帯る者あり、赤つぐ(○○○)と呼ぶ、又桄榔の実は椰子の類にして扁く、末に刷子の如き毛あり、黒色にして強し、南方の海浜に希に漂著するあり、