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百品考

鉄樹 一名朱蕉、一名朱竹、和名せん子んせう(○○○○○○) 格致鏡原、七修類藁、段貫家有盆樹一株、高可三四尺、幹葉皆紫黒色、葉小類石楠、質理細厚、問於主人、曰鉄樹也、毎遇丁卯年則花開、四弁紫白色、如瑞香、較少円耳、一開累月不凋、嗅之有草気、予以諺以事難成者、則曰須鉄樹開〓花、然則果有此樹耶、〈◯中略〉 琉球より多く来る、甚寒気お畏る、土窖に入るといへども、冬月は枯易し、幹の巨さ拇指の如く、高さ三四尺に至る、一根叢生して梭竹(しゆろちく)の如く、幹に密節ありて、紫黒色、鉄の如し、多くは一幹直上なれども、偶は枝お分つもあり、葉は幹頭に聚て箬葉(ちまきざ)に似、幅広く短し、縦理のみにして横理なし、紅紫色にして微黒色お帯ぶ、数十葉相畳りて観美なり、