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重修本草綱目啓蒙
二十三香木
麒驎竭 通名 一名海脂〈輟耕録〉 血結〈遵生八揃〉 血衄〈外科正宗〉 樹脂なり、舶来数品あり、真臘国より来ると雲、形小く包むものお小粽様(ちまきで)と雲、長く包む者お大粽様と雲、古渡の小粽様にも大小数品あり、その内色黒して光りあり、末する時は深紅色なるものお択で薬用に入るべし、上品なり、其包みたる者は蒲葵(びろう)葉なり、外科正宗に瓜児血衄と雲者は、小粽様のことなり、大粽様は御剣様とも雲中品なり、又形長からず、唯方塊おなす者お盤(ばん)の様(で)とも、盤様とも雲、古渡は下品なり、新渡には上品もあり、本草〓に、状若膠飴凝塊、紅赤与血同色、敲断而有鏡臉、光彩似能射〓人と雲は、上品は破砕すれば光あり、この説に能合へり、古より騏驎竭の木と呼ぶ者あり、即からみつでの木(○○○○○○○)なり、葉末浅く三つに分れて、厚く黒緑色冬お経て凋まず、脂お采て試みるに、血竭に非ずして没薬に近し、又葉三尖ならざる者あり、まるみつで(○○○○○)と呼ぶ、之お安息香に充るに非なり、又別に大和みつで(○○○○○)と呼ぶ木あり、葉の刻欠深し、樹脂共にからみつでと同じ、