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重修本草綱目啓蒙
二十三香木
必栗香 詳ならず増一名化木香〈香譜〉 按に必栗香はのぐるみ(○○○○)、一名のぶのき(○○○○)、又のんのき(○○○○)とも呼ものなり、暖国の山中に自生あり、葉胡桃葉に似て微し狭く、漆の葉に比すれば少し闊くして、辺に粗き鋸歯あり、香椿(たまつばき)の葉にも似たり、春月新葉出て、後栗の如き花お生じて実お結ぶ、形松毬に似て小さく軟なり、秋に至て落葉の後、実は落ずして枝梢に在り、木心茶色お帯て質堅し、此木お焼けば沈香の如き香あり、その煙は蚊お熏すべし、故に西国にては夏月これお售る、諸家集解の短文なるお以的当とせず、然るに余〈◯小野職孝〉文政九年四月、淡路に採薬せしに、土人此葉お搗て河中に投じ、魚お取るお見る、即集解の葉如老椿搗置上流、魚悉暴腮而死の文に能く合へり、即救荒本草の兜櫨樹(○)なり、