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古今要覧稿
草木
やまもヽ 山桜桃 楊梅 やまもヽ、漢名楊梅は本草和名にも、山桜桃白桃子味苦不中食、黒桜子味甜美中食、和名類聚抄には、楊梅やまもヽ状如苺子とみへ、七巻食経に、山桜桃有二種、黒桜子和名〈同上〉とみゆれば、山桜桃黒桜子ともにやまもヽの一名なり、楊梅は古くより、何国にてもやまもヽと呼て別に方言もなし、皇国固有の種にて処々に生ずれども、多く暖地に生じて、北地には生ぜずといへり、此花は春開きて松花に似たり、花散て後別に実お結ぶ、夏熟して紫黒色なれば、黒桜子の名は宜なり、又山桜桃のやまもヽは、何の木おいひしにや、大和本草には庭さくらお充たれども、にはさくらは郁李の一種、千葉の花おいへり、郁李はにはむめと呼、実お結べども、庭さくらは実お結ばず、