[p.0155]
倭訓栞
前編三十四也
やなぎ 楊柳おいふ、梁木なるべし、水辺に多き木也、又箭の木の義、古へ此木もて箭とせし事、西土の書にも見えたり、柳のかづら物に見えたり、和名抄に楊おやなぎ、柳おしたりやなぎとも見ゆ、群芳譜に垂柳の名あり、水楊おかはやなぎとよめり、丸葉やなぎとも、えのころやなぎともいふ、新撰字鏡に〓おゆやなぎとよめり、はこやなぎ也、美葉やなぎとよぶは金糸桃也、金糸梅とよぶものヽ類也、致富奇書に見えたり、こぶやなぎは厄柳也、又まりやなぎと称するあり、花は細糸お乱せしごとく、実鞠の形おなせり、ともに葉の裏面につけり、