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大和本草
十二雑木
榿(はりのき/はんのき) 宋宋祁益部方物略記曰、民家蒔之、不三年材可倍常、薪之疾種亟取、里人以為利、杜子美覓榿栽詩曰、飽聞榿木三年大、東坡詩榿木三年行可〓、榿の葉は榛に似たり、山州江州に多し、田のあぜにうへて薪とす、長じやすし、喬木となる、枝お切れば田の妨とならず、実おうふべし、又早く其幹お切れば、一根より多く叢生し、荊の如なるあり、多くうへて可為薪一株立て高大なる木と幹お切て、叢生して小なるとは別樹の如くなれども一物なり、別木に非ず、隻早く切りて叢生すると、不切して一株長じて高大になるとの異なり、へらの木に大小あるも亦如此、ひきヽは其木よく榛に似たり、故に日本紀神武紀に榛原とかきて、はりはらと訓ず、東鑑に榛谷(はんがえ)とよむ、其実は榛(はしはみ)にあらず食ふべからず、