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倭訓栞
前編八久
くり〈◯中略〉 栗子お名くるは色の黒きおいふにや、又くりは稜角おいふ、よて三稜草おみくりと訓ず、石おいふも同意也、日向風土記には、俗謂栗為区児と見えたり、延喜式に搗栗子、扁栗子、洩栗子、削栗子等の目あり、扁栗子は今の打栗なるべし、類聚雑要に掻栗あり、九月九日に栗おくふ事は、熙朝楽、事に見え、栗扶、くりのしぶ、栗刺、くりのいが、和名抄に見えたり、扶は本草に〓に作る、しぶかは也、栗刺は本草に毛毬と見えたり、俗に杓子と称するは栗楔也といへり、