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新編常陸国誌
六十一土産
栗〈久利〉 国内所としてなき所なし、大小二種あり、人家の園裏に植るものは大木にして、実も亦大なり、味至て美なり、〈甚大なるものお丹波のて、打栗と雲、土人雲、其種もと丹波より出づ、昔時人栗下にあり、実落て其人に中る、人弊る、因て名とすと雲、〉其材堅くして朽ず、以て屋お葺の坂とす、最よし、山にあるものは高さ七八尺に超るものなし、これお柴栗と雲、実も亦小なり、然れども味は大なるものにこへたり、其材用るに足らず、又一種あり、茨城郡稲田村にあるものは、年中三度実お結ぶ、俗これお三度栗と雲、他の地にもたま〳〵この類あり、就中稲田村にあるもの、世のよく知る処なり、農家或は其実お粉として餅にぬりて食す、これおくり子と雲、