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大和本草
十二雑木
櫧(かし/かたぎ) かしのき又かたぎ(○○○)と雲、本草山果門に出たり、其木赤白二種あり、材として屋お作る、鎗眉尖刀(なぎなた)の柄又鍬犂鎌などの柄に作り、舟の櫓に作る、凡器物に作るに堅くして久きに堪ふる良材なり、実は椎に似て大なり、飢お助く、白櫧(○○)は木色白く、木の性ねばくしてつよし、鎗の柄に用ゆ、其外器の柄によし、最良材なり、葉細なり、実の味赤かしにまさる、赤櫧(○○)は白かしより葉大なり、木色赤し木の性裂やすくおれやすし、白かしにおとる、然れども是亦器に作るによし、白かしの実は甘く味まさる、赤かしの実はしぶし味おとる、材実ともに白かしよし、白かしの実お多く空地に蒔べし、民用に利あり、