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松屋叢考

三樹考 柏(かしは)は炊葉にて、上古は甑に葉お敷て飯お蒸たるより然いひ、食物お盛もし、食物の上にもおほひ、下にも敷たるなど、みな柏といへり、〈延喜四時祭式上に、槲一俵、また柏九十杷、斎宮式に干槲三俵、弓絃葉一荷、大膳式下に青槲、荷葉(はちすば)、大和、河内、〓津等国所進、干〉〈槲播磨国所進など有も、膳所の用也、今は七月の玉祭にのみ、荷葉に食物もることのこれり、〉御綱柏、厚朴(ほヽかしは)、葉びろ柏、青柏、児手(このて)柏、あから柏、あかめ柏、もも柏などの名これにおこれり、かヾみ葉はかヾみ餅の類にて、葉の形の円鏡に似たるゆえの名とはじめはおもひつれど、さにはあらじ、これは葉のつやヽかなるお、明鏡のてりかヾやくにたとへし美称なり、