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重修本草綱目啓蒙
二十一山果
槲実 はヽそのみ はヽそ〈今ほうそと呼ぶ、以下木の名、〉 なら(○○) ほそ(○○)〈和州〉 ほう(○○)〈同上〉 ほうそがしは(○○○○○○) かしは(○○○) もちがしは(○○○○○) かしはぎ(○○○○)〈佐渡〉 まき(○○)〈雲州〉 ごうごうしば(○○○○○○)〈備前〉 樹一名青杠楓〈訓蒙字会〉 所里真木〈郷薬本草〉 喬木なり、葉は櫟より長大、径り三寸余、長さ六七寸末広して尖り、厚して粗き鋸歯あり、互生す、端午に糕お両葉にはさみて(○○○○○○○○○○○○)、かしはもち(○○○○○)と雲、春新葉生じて後花穂お出す、栗の花の如く小し、枝梢に実お生ず、形苦櫧(あかがしの)実に似て大なり、蒂も相似たり、木は大なれども材用に堪ず、惟薪となして上品なり、樹皮の薬用とす、赤竜皮と雲こと下に出づ、世医くぬぎの皮お赤竜皮とするは非なり、一種おほぼうそ(○○○○○)あり、葉の長さ一尺余、商州厚朴(ほヽのきの)葉に似て大鋸歯あり、一種こぼうそ(○○○○)あり、葉の長さ三寸許、其実長さ八九分、俗になががし(○○○○)と呼ぶ、一種こなら(○○○)あり、筑前にてごうぼうしば(○○○○○○)と雲、山中に多し、高さ一二尺に過ぎず、葉はこぼうそに同じ、夏の初め新葉お生じて花あり、実は櫧(かしの)子に似たり、枝梢に生ず、別に栗毬の如き者枝間に生ず、或は単生或は簇生、其刺柔にして人お刺さず、初め緑色、秋に至て茶褐色、是虫の巣にして実に非ず、破れば内に堅き〓あり、緑色の時この〓お破れば内に一つの小長白虫あり、褐色の時破れば一つの小蜂あり、此巣おおほぢのふぐりと雲、〈同名あり〉一名しばふぐり、〈播州〉さるのもも、〈同上〉からすのふぐり、〈石州〉ならごう〈筑前〉此の巣お採り煎じて黒色のした染とす、この木は集解に謂ゆる枹なり、一名勃落樹、〈肉蓯蓉の集解〉勃落葉、〈鎮江府志〉