[p.0201][p.0202]
重修本草綱目啓蒙
二十一山果
橡実 つるばみ(○○○○)〈和名抄〉 どんぐり(○○○○) しだみ(○○○)〈奥州〉 じだんぼう(○○○○○)〈上野〉 じだんぐり(○○○○○)〈信州 以上実の名〉 くぬぎ(○○○) くのぎ(○○○) くにぎ(○○○)〈予州〉 うつな(○○○)〈同上〉 まき(○○)〈備中〉 じざい(○○○)〈但州〉 じざいがし(○○○○○)〈但州〉 うばぼう(○○○○)〈〓州 以上木名〉 一名橡栗〈通雅〉 櫟斗〈同上〉 黄栗〈物理小識〉 皂栗〈品字揃〉 斗子〈本草〓〉 杼斗〈証類木草〉 加邑可乙木実〈郷薬本草〉 殻一名橡碗〈品字揃〉 橡椀児〈訓蒙字会〉 橡斗子殻〈附方〉 樹一名諸葛木〈茹草編〉 〓欏樹〈訓蒙字会〉 鉢羅樹〈盛京通志〉 五願樹〈潜確類書〉 様〈通雅〉 梠〈同上〉 枕〈品字揃〉 赤糯木〈証類本草〉 山野に自生多し、栽て早く長ずる者故、荒廃の地に多く栽ゆ、久しきお経る者は、高さ二三丈にして栗樹に似たり、葉細長辺に刺ありて、甚栗葉に似たり、雌雄あり、めくぬぎは葉形正しからず、或は多くゆがみ、或は葉の末広し、おくぬぎは形正しくして栗葉に混じ易し、皆秋冬に至り葉枯て落ず、春に至り新葉お生じ、夏の初葉間に花お生ず、栗穂に似たり、雌は枝梢に実お結ぶ、形円尖にして独顆栗(ひとつみのくりの)子の如し、秋に至り熟して黄褐色、大さ六七分、本に梂(いが)彙ありて其半截お包、其刺粗く柔にして人お刺さず、俗にしやくしと雲、一名よめのごき、〈江戸〉こめのごき、〈勢州〉ならがま、〈越後〉よめのがうし、〈上野〉即附方に謂ゆる橡斗子殻なり、唐山にてはこの殻お以て皂色(くろちや)お染む、故に皂斗の名あり、本邦にても古は衣服お染む、つるばみ色と雲、今も播州にて鉄漿お加へ皂色お染むと雲、宗奭の説に、木堅而不堪充材、亦木之性也、為炭則他木皆不及と、本邦にても炭にやきて上品とす、池田炭と呼ぶ、摂州市倉にて炭に焼き、池田に送り四方に貸す、故に池田炭と雲、是櫟炭なり、樹皮お薬用とす、和方書に土骨皮と雲、一名〓皮、国皮、苦門皮、幽樟皮、 増、古はくぬぎお檞木に充つ、非なり、松岡師も始はこの説に従しかども、後に改られたり、一本堂薬選にはくぬぎお朴樕とす、誤なり、朴樕は檞の釈名に出づ、用薬須知後編の説に従ふべし、