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大扶桑国考

柞は常にははヽそと訓む字なるお、撰者〈◯今昔物語撰者〉はくりの木に用たるなり、其はヽその木の在りし所お栗田郡と雲にて知べし、古事記伝に、近江国栗田郡に語り伝へて雲く、古に栗の大木ありて、其枝数十里にはびこれり、故栗本と雲ふ、今も地お掘れば栗の実また枝など有り、またすくもと雲て、里人の薪に用ふる物ありて、土中より掘出す、是も其栗の葉なりと雲へり、此の類の語り伝へ、なほ国々に往々あり、