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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
蕪第 ひきざくら〈和名抄〉 にがにれ(○○○○) 一名〓楡〈通雅〉 蕪第は舶来多し、偽物なし、古は和産もあれども今はなし、楡の類にして葉に臭気多と雲ひ伝ふ、釈名に爾雅の莁第お引て一物とす、蕪第と音近き故なり、然れども莁第は釈草にありて木に非ず、正字通にも其誤お弁ぜり、莁第は和産詳ならず、唐荊川右編に、蕪第枝葉有芒刺如箭羽と雲へり、野州信州には枝に巨羽ある楡樹あり、然れども未だその実お見ず、 増、蕪第の下に別録中品とあるは誤なり、已に本経に見へたり、往年京師油小路八条南稲荷の御旅所に一樹あり、臭気四方お薫ずる故に伐りしと雲、又巨羽ある楡樹は已に前条に弁ず、