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大和本草
十二雑木
榎(え) 本草には楸の葉小なるお榎とす、今案にえの木は楸の類にあらず、然らば本邦にて榎おえとするはあやまりなるべし、万葉及順和名抄に榎字えと訓ず、出処未詳、葉は桑に似て筋多し、冬葉おつ、葉はよく漆瘡お治す、新漆器に榎葉お入れば毒気去る、実は胡嫩の大さほどあり、秋熟して黄なり、味甘し、小児このんで食す、えの木は焼て烟すくなく能もゆ、故たき火に用ゆ、煎湯お浴す、中風の症及痿痺お治す、倭俗試知る処なり、