[p.0218]
本朝俗諺志

与州笹山社 伊与土佐の界山上に、笹山権現の社あり、此神は火難お遁れしめんとの誓願なり、ふかく信ずれば火賊の難なし、むかし土佐の国の山下正木村と雲所の土民、蕨岡助之丞と雲もの、年久しき家にて、豊饒の百姓也、先祖助之丞、夢中に熊野権限影向まし〳〵、此山に跡お垂玉ひて、火難盗難の災ひお除しめんとの霊夢おかふむり、夢さめて見れば、うしろの椋の木(○○○)に光明嚇奕たり、則これお神木とあがめ、社お造立し、笹山権現と称す、