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倭訓栞
前編六加
かち〈◯中略〉 新撰字鏡に、穀また楮おかぢと訓ぜり、日本紀に擬もよめり、七夕に歌かくは、此木の葉也、後拾遺集に、 天河とわたる舟のかぢの葉におもふ事おも書つくるかな、神世に穀お種て木綿お造り、天棚機姫神に神衣お織しめさせられたる事、旧事紀に見えたり、織女の故事おもて、此木の葉お用る也、一条禅閤の息竹内良鎮の歌に、 昔誰きヽあやまりて星のためかぢの七葉おとりそなへけん、とよめるは、神世の故事お究められざるにや、