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大和本草
十果木
無花果(いちぢく/たうかき) 寛永年中、西南洋の種お得て長崎にうふ、今諸国に有之、葉は桐に似たり、花なくして実あり、異物なり、実は竜眼の大にて殻なし、皆肉なり、味甘し可食、葉にも実にも白汁あり如乳汁、実の内に細子あり、枝お挟めば能生ず、又日本にもとよりいちぢくと雲物別にあり、後にあらはす、いちぢくに似たる故に、無花果おもいちぢくと雲、救荒本草に、無花果の葉の煎湯治心痛甚効あり、此事本草には不載、