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大和本草
十二雑木
いちぢく 無花果おもいちぢくと雲、それには非ず、葉は木犀に似てうすく冬おつ、其実無花果より小なれども能似たり、秋冬に至て熟すれば、内に細子多く、肉ありて恰無花果の如し味甘し、小児好んで食す、実青き時われば白汁あり、村落林木のある処にあり、村民其葉おとり、飯上に置蒸て食す、味よし、無花果は近世わたる、いちぢくに似たる故に、其名おかりて無花果おもいちぢくと雲、