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大和本草
十二雑木
菩提樹〈◯中略〉 凡念珠に作る、物お世俗皆菩提樹と称す故に世俗の菩提子と称する物多し、もくれんじもぼだいしと雲、無患子、薏〓も同、何れも菩提樹には非ず、菩提樹の葉は木犀の葉に似たり、葉のうらに茎ありて、それに実なる、常の木に異なり、京都泉涌寺六角堂同寺町、又叡山西塔にあり、元亨釈書に、千光国師栄西入宋の時、宋より菩提樹のた子おわたして、筑前香椎神宮の側にうえし事あり、報恩寺と雲寺にありしと雲、此寺は千光国師もろこしより帰りて初て建し寺也、今は寺も菩提樹もなし、畿内にあるは昔此寺の木の実お伝へ植しにや、翻訳名義曰、菩提樹仏生其下、成等正覚、因而謂之菩提樹、冬夏不凋、光鮮不変といへり、潜確類書九十九、異木の類に、菩提樹お載たり、曰末結蕊、先乃別抽一葉、長指半許、闊両指乃結蕊于葉下、今案本邦にあるも亦かくの如し、