[p.0239][p.0240]
本草綱目訳義
三十六灌木
南燭 なつてん(○○○○)、なんてんの転也、なびてん(○○○○) らんてん(○○○○)〈上総〉 三葉〈和方書〉是は人家に多し、小木多し叢生す、年久しけれども余大ならず、間には本大く也、末の分りたるあり、これは至て少也、田舎には高さ丈余になり、百本ほども叢生するあり、少なり、どれも秒に葉出て本へ不出、葉せんだんの形に似たり、〈◯中略〉八九寸計花多くつく、開て三分ほどの大さ五弁也、花後実生ず、円にして大さ三分計、熟して赤くなるは一通りの者也、熟して白くなるあり、藤色もあり、ふぢ色になるものはぶちなつてん(○○○○○○)と雲、白くなるものは白なつてん(○○○○○)と雲、どれもわれば白きた子あり、実ばへ出来易し、此外にひらぎなつてん(○○○○○○○)と雲あり、葉巨歯ありて、ひらぎの葉の如し、本加賀の山中より出づ、今は花戸に多し、藤の葉の如く葉に枝なし、葉長し居止あり、居止の先刺になる也、是はなつてんに非ら子ども、葉の出やうなつてんに似たる故、なつてんと名づけしなり、とうなつてん(○○○○○○)〈生州〉ひらきまめ(○○○○○)〈京〉ひいらなつてん(○○○○○○○)、〈土州〉此花は常の南燭とちがひ長くほになり、大豆の花の如く黄色なり、此は漢しれず、常のなつてんも国により大木ある也、美濃山中にも床柱となるほどの大木ありと雲、土地山中にもあると雲、間に額などになるあり、巾二尺計もあると雲、