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大和本草
十二花木
辛夷(こぶし) 葉は柿の葉に似たり、大木あり、其花いまだひらかざる時、つぼみ筆の如し、故に木筆と雲、二月に白花ひらく、外紫に内白し、玉蘭(はくもくれん)に似たり、玉蘭の枝お辛夷の台につげば能活す、葉は花の後に生ず、南国は春に先だつて花ひらく、故迎春花と雲、実は其形桃の如くなり、うすき苞ありて、其内に子多くつヽめり、半は苞の外に出、其実紅にして相思子(なんはんあつき)の如し、