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重修本草綱目啓蒙
二十三香木
辛夷 やまあらヽぎ(○○○○○○)〈和名抄〉 こぶしはじかみ(○○○○○○○)〈同上〉 こぶし(○○○) こぼうし(○○○○)〈越前〉 こぼし(○○○)〈丹波〉 一名猪心花〈秘伝花鏡〉 望春〈同上〉 報春花〈寧波府志〉 朝天木蓮花〈薬性要略大全〉 朝天蓮〈同上〉 侯木〈野菜博録〉 流夷〈蘇民韻集〉 新雉〈同上〉 玉〓〈花暦百詠〉 辛彝〈江南通志〉こぶしは山中に自生あり、其木高大枝条繁密、枝梢ごとに夏より蕾お生ず、形筆頭の如し、秋冬お経、葉已に落て後漸く大なり、色白微褐の毛ありて小桃の如し、故に釈名に木筆の名あり、二三月に至て、未だ葉あらずして先づ花お開く、木蘭花に似て小く、六弁白色にして紅条あり、一種浅紅色なる者あり、むらさきこぶし(○○○○○○○)と雲、花史左編の紅石蕎、本草彙言の紫蘭なり、時珍の説に、有白色者人呼為玉蘭と雲は、和俗白木蓮と呼ぶ者なり、一名おほこぼし(○○○○○)、〈丹波〉いとまきざくら(○○○○○○○)、〈南部〉即辛夷の一種なり、樹の高さ二三丈、仲春花お開く、大さ木蘭花の如し、形も相似てこぶしより大なり、香気多し、色白して微緑お帯ぶ、花謝して後新葉お生ず、辛夷品類皆然り、一種しでこぶし(○○○○○)あり、一名ひめこぶし(○○○○○)、木の高さ二三尺、或は丈許に至る、枝条繁密同時に花お開く、大さ三寸許、細弁長さ二寸許にして十二三弁あり、色白して一つの淡紫条あり、弁ごとに曲り乱る、故にしでこぶしと呼ぶ、又白花の者紫紅花の者あり、