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剪花翁伝
前編一正月開花
辛夷(こぶし) 花八重ともいふべきなれ、色淡紅、開花早きは正月末より三月まで咲也、方日向、地二分湿、土撰ばず、肥大便寒中入べし、接木蓮華砧に春彼岸寄接にすべし、移秋(うえかへ)彼岸よし、水は自然に升ることもあり、もし上ざるときは、切口お割て蜀椒お三四箇木の大小に応じ挟み、水器(いけだめ)に入おき、水上て後挿花にすべし、 四手辛夷(しでこぶし) 花の色淡紅、形四手のごとく、下に垂れ咲也、開花正月末なり、育方水升の方、共に辛夷に並び同じ、