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牛馬問

和のほうのきといふて、秤の覆ひ、刀の鞘に用ゆる木は、漢土に於て見証なし、此木と梅干とは大毒なり、此木の上に置たる梅干お食ふべからず、必ず死すといふ、本朝の俗医、此ほうのきお以て、唐の厚朴と心え、和の厚朴と号し、薬用する事、大なる僻事也、厚朴は和産なし、ほうのきは漢土なし、故に文字なし、ほうのきは冬に至りて葉落、厚朴は冬不凋、たま〳〵其木の似たるのみ、薬用には必ず唐なるものお撰て服すべし、総じて和産なきもの、近年唐種にして和産するもの多し、又可知、